我が家の長男は日本で生まれた。
妊娠発覚時、すでに香港在住ではあったものの、やはり最初の出産ということもあり、わたし、というよりもわたしの母親が里帰り出産を強く望んだので、地元である新潟で出産した。
産前の検診は、ネットで調べた結果、日本人通訳のいる大きな病院の産婦人科で。ここは設備も古く、4Dエコーが主流になってきた時代にも関わらず2Dエコー。それも毎回エコーで見るわけではなく、昔ながらの聴診器で心音を聞くだけというときも。「こんな感じでだいじょうぶなのかな…」と不安を覚えるも「まあ、どうせ里帰りするし」という気持ちで検診を受けていた。ちなみにドクターは香港以外の学会にもがんがん参加するような立派なドクターで、わたしの膨れ上がった大きなお腹を「オー!ビューティフル、フジヤマ!」と形容してくれるとてもたのもしいドクターだったので何も不満はなく、むしろ毎回の検診が楽しみだったりもした。
はじめての妊娠ということもあり、栄養面にもとても気を使った。幸いつわりもそこまでひどくなく、マックのポテトとコーラ、ピザが手放せない時期もあったけれど自炊する元気もあったし、病院から出される大きなサプリメント(葉酸と鉄)もがんばって飲んだ。運動はあまりしていなかったけど、たいして体重も増えなかったし「わたしって優良妊婦…安産まっしぐらなんじゃ…」と自分に酔うことも欠かさなかった。
が
30週を過ぎた頃、日本に帰国。季節は冬真っ只中だった。新潟は雪の日が多く、外は寒いのでこたつの中で丸くなるしかない。そんでもってごはんがうまい。ひたすらうまい。食べる、丸くなる。食べる、丸くなる。で、身体もどんどん丸くなる。里帰り先の産婦人科の先生(おじさん)に「こりゃ体重増え過ぎらなあ。日本のごはんそんがんうまいか?」(訳:体重増え過ぎです。日本のごはんはそんなにおいしいのですか?)と言われ、ハッとした。同じように香港から里帰り出産をした先輩ママが言っていた言葉を思い出したのだ。
「日本の米がさあ…とにかくおいしくて…」
海外からの里帰り出産の落とし穴、おいしい米。
ただでさえ体重が増えやすいとされる臨月の時期に、突然差し出されるおいしい米。あと和菓子。てゆうか和菓子なんてそんなに好きじゃなかったのに。そんでさ、洋菓子に比べたらヘルシーなんじゃないの?ちがうの??
妊娠発覚後、約30週まで香港で増えた体重約5キロ。
30週から出産まで増えた体重約8キロ。
検診のたびに母子手帳に押される「体重注意」のハンコ。
日本での里帰り出産をお考えのカーサンたち、おいしいごはんにはお気をつけて…!
